ワールドシナリオ後編
『哀哭のカナロ・ペレア』第1回オープニング
◆ストラテジー・スヴェル始動
アルディナ帝国、アトラ・ハシス島、マテオ・テーペ、それぞれの代表たちの話し合いにより、世界を安定させるために立ち向かう団、ストラテジー・スヴェルが創設された。
出資者は、帝国のハルベルト公爵。すでにあるガーディアン・スヴェルの姉妹団体にあたる民間組織だ。
代表者は三人で、帝国、アトラ・ハシス島、マテオ・テーペからそれぞれ一人が選出された。
参加資格は、
1.いずれかの国や地域に住民登録をしていること。
2.連絡の取れる『人間』であること。
この二点のみだ。
ガーディアン・スヴェルは主に街の人達のためのボランティア組織であったが、ストラテジー・スヴェルはより広範囲に戦略的に活動する組織である。
ストラテジー・スヴェル本部に、今回の作戦に参加するボランティア団員が集合した。
作戦の説明をするのは、帝国代表でガーディアン・スヴェル団員の青年だ。
彼はハルベルト家に連なる下級貴族であり、魔法に長けた魔術師である。
「説明に入る前に、先に皆に伝えておきたい。ストラテジー・スヴェルの団長は、ハルベルト家の長男であるグレアム・ハルベルトさんだ。そして私は、団長代理を務めることになった。よろしく頼む」
そのグレアム本人がここにいないことに、場はざわめいた。
彼は昏睡から目覚めて、ほとんど以前と変わりなく動けるようになったと噂されている。
また、先のスヴェルの事件により、グレアムの評判は地に落ちている。
そのような人物を団長に据えるのか、と多くの者が難色を示した。
「静かに。まずは、現状と今後の方針のおおまかなところを説明する」
団長代理はそう言うと、さっそく現在わかっていることから話し始めた。
「これまでの報告では、大気中の魔力に残った生命の意思が魔力に影響を及ぼしていると考えられている。つまり、魔物の発生や魔力が高い者への悪影響は、それが原因ではないかということだ」
魔力が高い人なら経験しただろう、歪んだ魔力による影響──破壊衝動を呼びかける何か。
「その意思の正体を突き止め、この問題を解決するために働くのが、ストラテジー・スヴェルの目的だと心得てくれ」
さらに続けられた説明で、グレアムがここにいない理由が明らかになった。
「この目的を果たすためには、その意思の中心となるものに接近し、知る必要がある。グレアムさんは、すでに先行調査に向かった」
場が再びざわめく。
グレアムを心配する者もいるが、不信による声のほうが多い。
「知っている人は知っていると思うが、グレアムさんは歪んだ魔力の影響を受けやすい体質だ。それを利用する。彼は、帝国に……いや、生き残ったすべての人類に命を捧げる決意をした。我々は、歪んだ意思に気づかれぬようグレアムさんを追いながら、彼を原因の意思の中へ導かねばならない」
ところで、歪んだ魔力に完全に囚われた場合、人間を含め生物はすべて魔物化する。
しかし、グレアムをはじめとする特異体質の者達は、おそらくだが外見に変化はないと考えられている。
また、知能が失われることもないようだ。
「グレアムさんが、その意思の元にたどり着いた時、おそらく完全に歪んだ魔力に囚われているだろう。彼を追う我らの前に立ちふさがるはずだ。──我々は全力で挑み、彼を倒さなければならない」
そんな、と悲痛な声があちこちからこぼれ、場は重苦しい空気に包まれた。
「グレアムさんの本当の意思は、この本部で預かっている。もし彼の命が残っていたのなら、元に戻る可能性もあるはずだ。──だが、彼の命を護るために、この戦いで死者を出すことは許されない。それが団長の意思だ」
団長代理は団員達を見渡して言った。
次に、今回の作戦についての説明が始まった。
これまでの調査で、燃える島に歪んだ魔力が集められていたことがわかった。
そして、集めていた化け物は討伐され、そこから特殊な魔法鉱石である『魔石』が創り出された。魔石は帝国が確保し、錬成が進められている。
燃える島は、今も歪んだ魔力が渦巻く禁忌の島だ。
とはいえ、燃える島の化け物は歪んだ魔力を集めてはいたが、発生源ではないことが判明している。
「現在、本土は皇帝が魔力塔から神力を発し続けることで守られている。その間に我々は三つの作戦を行う」
1.燃える島に集められた歪んだ魔力を退けるための拠点をつくる。
2.水の魔力の吹き溜まりとされる氷の大地に、ベースキャンプを設営する。
3.作戦1および2の支援をする。
「作戦1だが、先にも言った通り燃える島は、歪んだ魔力を集めていた化け物を討伐したにも関わらず、静まる様子を見せない。そこには何らかの意思が働いていると考えられる。今回は、それを調査するための拠点をつくり、さらに結界を張って拠点を護るのが主目的とする。結界には魔術師の協力が不可欠だが、人数が多ければより大きな拠点を築けるはずだ。余裕があれば、島の調査も行ってほしい」
危険な地だからしっかり装備を整え、決して無茶はするな、と団長代理は注意を促した。
「次の作戦2は、リモス島が出発地点となる」
これまで開拓地と呼ばれてきた島は、少し前に村の名が島の名としても使われるようになった。
「大洪水の原因と思われる水の魔力が暴走した地──水の魔力の吹き溜まりに、その魔力を静めるために継承者であるルース姫が向かう。その姫のサポートを行う」
ここには、燃える島より多くの歪んだ魔力や、意思が存在する可能性が高い。
その歪んだ魔力や、何らかの意思を持つ存在がルースを妨害しないよう、それらを退ける等の支援活動が任務だ。
「その任務をこなすために、水の魔力の吹き溜まりがある氷の大地の海岸に、ベースキャンプを築くのが今回の目的だ。航海中や陸地では何が起こるかわからない。油断なく任務にあたってくれ」
燃える島へは帝国の小型魔導船を使い、本土の東の海岸から出航する。
氷の大地へは、アトラ島の船のアルザラ1号が使われ、リモス島から航路を切り開いていく。
「作戦3は、作戦1および2で必要な物資の調達と各船への搬入などが、主な仕事となる。リモス島は流刑地であるため、通常は許可なく出入りはできない。だが、今作戦でアルザラ1号に乗船する者や、物資搬入に携わる者は特別に出入りを許可する。許可証を発行するので所持しておくように」
なお、本土からリモス島のアルザラ1号への物資の輸送は、本土西側の崖上から物資を積んだ小型魔導船を海に下ろし、リモス島の海岸にいったん運び入れる。それからアルザラ1号に積み込む手はずとなっている。
余計なトラブルを起こさないように、この活動に参加する者は、リモス村へ入ることは禁止されている。
この物資の積み込みに不足があると、出航した団員達が窮地に陥ることもあり得る。
「最後に、燃える島の作戦は私が、水の魔力の吹き溜まり方面はレイニ・ルワールが、帝国領での準備はジスレーヌ・メイユールが取りまとめる」
レイニとジスレーヌから簡単な挨拶があり、その後それぞれの作戦ごとに分かれて準備が進められていった。
『哀哭のカナロ・ペレア』第1回参加案内
■スケジュール
2020年1月25日 シナリオガイド公開
2020年1月26日 チケット販売、アクション受付け開始
2020年2月2日 アクション締切
2020年2月25日頃 リアクション公開
■参加方法
公式ショップでチケット(500円)を購入していただき、こちらのフォームから選択肢の選択と手段(200文字まで)をご投稿ください。
■第1回の成功条件
燃える島の海岸に結界を張る
魔力暴走地に到着し、ベースキャンプを設営する
※作戦が成功に至った場合、支援者や活動資金が増え、魔法具が貸与されるなど活動がしやすくなります。
■選択肢
・燃える島の作戦に参加
・本土の海岸で準備、支援
・水の魔力吹き溜まりの作戦に参加
・リモス島海岸で準備、支援
・本土で事務作業、連絡係
・フリーアクション
【フリーアクションとは】
ワールドシナリオ後編は、世界を滅ぼそうとする存在に、立ち向かう団に所属するメンバーたちの戦いの物語です。団員として、状況に沿った協力行動が望まれます。
それ以外の、選択肢や団行動から外れた行動をとる場合「フリーアクション」をご選択ください。
フリーアクションは、その行動が物語に大きな影響を与える場合にのみ採用され、採用された場合にのみPCがリアクションに登場します。
※フリーアクションの選択をされず、選択肢や団行動から外れた行動をとった場合は、独自行動よりも協力を優先するものとして、マスタリングが行われます。
■状況説明等
第1回のリアクションでは主に出発前の準備と、各地に到着してからの戦い、拠点設営シーンが描かれます。
魔法具ではない一般的な作業に必要な道具や、武具は借りることができます。
魔力の高い方は、歪んだ魔力の影響を受けやすく、場合によっては囚われて自我を失います。
対処法については、こちら等でご確認ください。
魔力の低い方は、魔法防御力も低いです。魔力の濃度が高い場所では、その場にいるだけで身体に大きなダメージを受けます。
燃える島で結界を張った後は、結界内では魔力の影響を受けませんが、魔法も使えなくなります。
結界の外と中は生物は普通に行き来ができます。エネルギー体は行き来できません。
作戦後、どちらの船も帝国領に帰還します。
■敵
【燃える島】
実体のない魔物が出現します。
負の魔力が動物の姿化したエネルギー体です。
物理攻撃も効きますが、魔法攻撃の方が有効です。
グレアムと遭遇する可能性があります。
【魔力暴走地】
寒冷地に生息する野生生物の魔物が出現します(陸上種、海洋種共に)。
異形の生物に遭う可能性も……。
【その他】
なし
■継承者の一族の力をお持ちの方
継承者から力を与えられた方、魔石の欠片を使用された方(使用される方)につきましては、魔力が高くても歪んだ魔力の影響を受け難いです。
■その他注意事項
PCデーターの所属が「無」の方は、ストラテジー・スヴェルに参加することが出来ないため、オープニングに書かれている話を聞くこともできません。
「無」の状態でシナリオに参加する場合は、選択肢「フリーアクション」のみご選択いただけます。フリーアクションはリアクションに登場出来ない可能性が高いです。
所属を設定されていない方については、出身地に所属しているとみなしますため、団作戦に参加可能です。
箱船と元海賊船、及び暴走した水の魔力を鎮める儀式は、ゾーンシナリオで取り扱われます。
ワールドシナリオで干渉することは出来ません。
■個別連絡
エンリケ・エストラーダさん
変装して、偽名でスラムに住んでいる(住民登録をしている)とする場合、偽名でストラテジー・スヴェルに登録可能です。
死亡したとみなされているため、指名手配はされていませんが、正体が判明した場合は帝国に通報され、指名手配となります。
ストラテジー・スヴェルの一員として、作戦に沿った行動をする場合、エンリケさんの意に反してこのシナリオで正体がバレる、バラされることはありません。
バルバロさん
変装して、偽名でスラムに住んでいる(住民登録をしている)とする場合、偽名でストラテジー・スヴェルに登録可能です。
別人として行動をしている限り、行動の制限はありませんが、脱獄者として指名手配されていますので、正体が知られた場合は逮捕されます。
ただストラテジー・スヴェルの一員として、作戦に沿った行動をする場合、バルバロさんの意に反してこのシナリオで正体がバレる、バラされることはありません。
自ら正体を明らかにする行動に出る場合は、フリーアクションでという形になります。
タウラス・ルワールさん
オープニングストーリーで連れて行きたくないようなことを伴侶NPCが言っていますが、アルザラ1号に乗船しても問題ございません。
ただし、この作戦において、船長としての権限、指揮権はないです。
■マスターより
主に構成を担当いたします、川岸満里亜です。
前編は帝国編(帝国の物語)でしたが、後編は世界編となり、後編の作戦は帝国の作戦ではないです。
後編のワールドシナリオは、人類vs負の意思です。作戦の成功を目指して皆で協力をする、ほぼ協力型となります。
アクションは前編同様非公開です。
フリーアクションを選択された方以外は、基本的にリアクションに登場いたします。
グループアクション欄は、とりあえずなしとなりました。
(ほぼ)全員協力型ですので、グループ行動につきましては、PC掲示板をご活用いただき、メンバーを募ってくださいませ!
お友達同士の強引な行動で他の参加者を置いてきぼりにするのはマナー違反ですよ。
後編のワールドシナリオは各ゾーンシナリオの状況により、作戦が変わっていきます。
あとすみません、開発は取り扱われなくなりました。体力のない方は、本部で事務作業などを手伝っていただけましたら幸いです。
今回は準備シナリオです。第2回の参加者募集は3月下旬頃になる予定です。
第2回からは戦いがメインとなります。
シリーズ最終章。
開始時の状況は正直、あまり良くはありません。
皆様がどのように生き、決断をしていくのか、楽しみにしております。
* * *
こんにちは、冷泉みのりです。
オープニングストーリー、及びリアクションの一部を担当します。
今後もよろしくお願いします。
ジスレーヌはこれまでゾーンシナリオでリモス島のみの登場でしたが、後編ではワールドシナリオにも登場し本土とリモス島を往復することになります。
本土で作戦3に参加する人でジスレーヌに用がある場合は、本土で接触できます。
本土では主に、ストラテジー・スヴェル本部か東側の海岸にいます。
本文にもありますが、アルザラ1号に乗る人、物資搬入に携わる人はリモス島の海岸で仕事をすることになります。
アルザラ1号が泊まっている海岸付近のみが、島での活動範囲です。
この仕事中は、拠点がリモスの人も、前編でここに縁のあった人も、リモス村には出入りできませんのでご注意ください。
それでは、アクションをお待ちしています!
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