ワールドシナリオ番外編～とある夏の物語～

　騎士団による海賊鎮圧作戦は成功を収め、海に平和と秩序が戻ると思われていた。
　街外れにある騎士団長の墓には、団員や家族が毎日のように訪れ、花が手向けられている。
「父さんの遺志は僕が継ぎます。陛下は甘すぎる……。海賊を野放しにしすぎた。悪の芽は早めに摘むべきだ！」
　新たに開発部門の指揮を任された青年が、団長の墓前で決意を誓う。
　成人したばかりのその青年は、亡き騎士団長の息子であった。
　開発室では、対魔物用の魔導武器の開発が進められている。
　この武器を人に使うことなく、鎮圧できたことは、良かった――ことなのだろう、が。

　リモス村の箱船では乗組員たちが、箱船の修繕作業を行っていた。
「今後も帝国から協力要請が出るでしょうね」
　帝国騎士の死傷に、マテオ・テーペ出身者が絡んでいる関係上、言い逃れは出来ない状態だった。
　船には大きな損傷はなかったのだが、魔物のいる海にまた駆り出されれば渡航が難しくなるほどの、被害を受ける可能性もある。
　もとより箱船はマテオ・テーペの障壁を行き来するだけで、多大な命の力を必要とする船だ。行き来の度に命を落とす者が出る。
　命に代わる何かを、帝国に、帝国の民に負担してもらわなければ、命の消費は続いていく。
「帝国との関係をどのようにしていこうと、皆は考えているのでしょうか？」
　帝国との関係のために、傭兵騎士として命を賭した者たちは、手厚い看護を受け、功績をたたえられている。
　その者達のお蔭で、帝国側からマテオ・テーペの難民たちは非難の目を向けられることはなかった。

　いつ、炎が燃え移るかも知れない海岸に、幾つかの小舟がたどり着いた。
「畜生……帝国のヤロウ……！」
　この燃えている島の様に、帝国本土も燃え尽きてしまえばいいのにと、逃げ延びた海賊たちは思った。
　滅びて、誰もいなくなった地が自分達のものになる。そんな妄想が、彼らの脳裏に浮かぶ。
「難民たちの船、あの船が欲しい」
　そう願う者もいた。
　あの船には、生活できるだけの設備がある。水も手に入る。
　帝国は、あの船を撃沈できないはずだ。
　あの船さえ、乗っ取ることができれば……と。

　出来もしない妄想を抱いていた。


ワールドシナリオ番外編（2019年8月）参加案内

■スケジュール
2019年7月24日　参加案内公開
2019年7月24日　アクション受付け開始
2019年8月1日（23時59分59秒）　アクション受付け締切
（フォームからの投稿は念のため翌朝9時まで行えるように設定してあります）
リアクション公開日は参加者の人数により変動。
最長、人数×２日程度。

■参加方法
公式ショップでチケット（1500円）を購入していただき、こちらのフォームからアクション（600文字まで）をご投稿ください。
ＮＰＣの登場を望まれる方は、ＮＰＣ追加用チケット（１ＮＰＣにつき500円）もご購入ください。
マスターをご指名いただけますが、定員がございますのでご注意ください。

■注意事項
こちらのシナリオでは、ワールドシナリオ前編第３回のリアクション後から第４回オープニングの間の、ＰＣの日常が描かれます。ワールドシナリオに関連した内容である必要はございません。
この時期に、自分のＰＣがどのように過ごされているか、自由にエピソードをご記入ください。

ワールドシナリオとゾーンシナリオでのキャラクターの状況がパラレルになっている方は、ワールドシナリオの内容のみ取扱い可能となります。
物語を進めることはできないです。世界展開に影響を及ぼそうとする行動、情報を得ようとする行動はご遠慮ください。
ＮＰＣのお誘いは、仲の良いＮＰＣに限ります。
オープニングに登場している無名ＮＰＣとは（その場所に行ける人であれば）どなたでも絡んでいただけます。追加用チケットの購入も不要です。

メインで描写されるシーンは１シーンのみとなります。
アクション欄には１日の行動を記入されても構いませんが、描写が必要なシーンがどのシーンなのか判るようにご記入くださいませ。

■お誘い可能ＮＰＣ（下記に名前の無いＮＰＣはお誘いいただけません）
グレアム・ハルベルト
チェリア・ハルベルト
カサンドラ・ハルベルト
シャナ・ア・クー
セゥ
ルルナ・ケイジ
ミコナ・ケイジ
サク・ミレン
パルミラ・ガランテ
ベルティルデ・バイエル（リモス村限定）
ルース・ツィーグラー（宮廷限定）
エルザナ・システィック
バリ・カスタル
ジスレーヌ・メイユール（リモス村限定）
フランシス・パルトゥーシュ
ジェルマン・リヴォフ
シルド・ドレイン
アーリー・オサード

※特に親しいＮＰＣ（ＮＰＣに好かれている）につきましては、ＮＰＣに散歩に誘われた、もしくはＮＰＣがＰＣの見舞いに訪れたなどのシチュエーションをご指定いただくことも可能です。

■担当者より
オープニングと参加案内を担当させていただきました、川岸です。
ワールドシナリオでは、構成とデーター関係、ちょこちょこっと加筆させていただいている程度ですが、今回は私もワールドの展開を経ての皆様の日常を描かせていただきたく思います！
別ＰＬさんのＰＣ同士の絡みがある方は、マスターの指名なしでお願いいたします。
怪我をされている方は、こちらで治療に専念した場合、第４回ではある程度回復しているとさせていただきます。

時期はワールドシナリオ前編第３回後の時期限定となりますが、ワールドシナリオとは関係ない日常の物語も大歓迎です。
アクション楽しみにお待ちしております！